100円の商品を10倍の1,000円で売る方法を知りたくないですか?
マーケティングのことを学べる本、
『100円のコーラを1000円で売る方法』
には、その答えが書いてあります。
その方法とは一体何なのか?
答えを知れば、「あ~なるほどね」と納得することでしょう。
目次
100円のコーラを1,000円で売る方
会計ソフトウェアの専門会社で働く、
宮前久美と与田誠のふたり。
宮前は10年間、営業部に所属していたが、
商品企画部に転属することになります。
転属先の商品企画部次長の与田にマーケティングに関して、
批判やアドバイスをされつつ宮前が成長していくというストーリー展開。
全10章の構成でタイトルの『100円のコーラを1,000円で売る方法』
に関しては第8章に書かれています。
1.アメリカの鉄道会社はなぜ衰退したのか?
アメリカの鉄道会社は顧客がバスや飛行機を使うようになっても
それを自分たちの問題としませんでした。
自分たちの事業を『輸送事業』と捉えず、
『鉄道事業』と捉えていたのです。
その結果アメリカの鉄道事業は衰退していったのでした。
企業の捉え方は2種類あります。
- 製品志向:商品を売ることのみの製品中心の考え方。
- 市場志向:お客の生活を豊かにする顧客中心の考え方。
Appleが市場志向の分かりやすい例だと思います。
iPhoneのCMを観てるとなんだかiPhone持てば生活がオシャレでカッコよく
なりそうな感じがしますよね。
iPhone以外にもマックブックを持ってスタバでカタカタやってる自分カッコイイみたいな。
まさにコレが市場志向ということです。
2.「お客さんの言いなりの商品」は売れない?
顧客の要望に100%答えたとしてもその商品は売れません。
なぜ?
と思うかもしれませんがそれは、
かならずしもお客さんが買いたくなる理由には繋がらないとのこと。
顧客が気がつかない課題を考えて解決策を創造することが求められているのです。
顧客が気が付いていない価値を提供できなければいけないということです。
3.顧客の要望に100%答えても0点
『顧客満足の式』というものがあります。
顧客が感じた価値-事前期待値=顧客満足度
例えば、
映画を観に行ったとします。
とても期待していたので期待値を100とします。
映画を観て感じた価値が100だったします。
これをさっきの式に当てはめると、
映画を観て感じた価値100-事前期待値100=顧客満足度0
という結果になります。
これが、
映画を観て感じた価値が200だったとします。
映画を観て感じた価値200-事前期待値100=顧客満足度100
つまり、
期待値を越えないと顧客の満足度は得られないということです。
4.値引きの作法
市場シェア率の高い企業と低い企業を以下のように言います。
- 市場シェア率が高い企業:マーケットリーダー
- 市場シェア率が低い企業:マーケットチャレンジャー
といいます。
価格を安くすれば値引き合戦になり、
市場のシェア率が低い企業はシェア率が高い企業に絶対に勝てません。
マーケットチャレンジャーは価格ではなく、
他の部分で勝つ方法を考えないとダメだということです。
5.キシリトールガムがヒットした理由
街の電気屋さんはなぜ潰れないのか?
という話から、
バリュープロポジションという言葉がでてきます。
- 顧客が望んでいること
- 自社が提供できる価値
- 競合他社が提供できないこと
街の電気屋さんは家電量販店には品ぞろえでは勝てないですが、
シニア層に向けた地元密着型の手厚いアフターサービスで成り立っています。
このバリュープロポジションを踏まえて、
キシリトールガムがヒットした理由を考えると、
ガムは味や香りやおいしさが求められるものですが、
そこに虫歯予防という新しい要素で新市場を切り開いたというわけです。
6.スキンケア商品を売り込まないエステサロン
第1章で出てきた製品志向と市場志向。
▼コレをエステに当てはめると以下のようになります。
- 製品志向:スキンケア商品を売りつける
- 市場志向:肌を美しくすることを自社の仕事と考える
主人公の宮前久美は製品志向の考え方から市場志向の考え方をして、
『顧客は本当は会計ソフトなんて使いたくないのでは?』
という顧客の負担を減らす新しいアイデアを思いつきます。
ターゲット顧客とその真の課題を見極められれば、
自分たちが行うべきことも決まるということ。
7.商品を自社で売る必要はない
世の中には生産者がセールスしない商品がある。
例えばスーパーなどで売っているものなどがそれにあたります。
製品を作っても自社で売る必要はなく、
他社に営業や流通を任せるやりかたもある。
競合する企業とwin-winの関係を築くことができれば協業することができる。
つまり、
8.100円のコーラを1000円で売る方法
さあ、やっときました本書の核となる部分です。
製品を売る2つの戦略について
- プロダクトセリング:コスト削減で製品を売る戦略
- バリューセリング:サービスなどで付加価値を付けて製品を売る戦略
スーパーで売っているコーラは100円で買うことができます。
高級ホテルのリッツカールトンのルームサービスで頼むコーラは、
最適な温度そしてライムと氷が添えられています。
心地よい環境で最高においしいコーラが飲めるという体験を提供することで
普通のコーラを1,000円で売ることができるということです。
つまり、
コーラという液体を売っているのではなく、
サービスという目に見えない価値を売っているのです。
コレが100円のコーラを1,000円で売る方法の答えということになります。
9.なぜ省エネルックは失敗してクールビズは成功したのか?
なぜ、省エネルックは失敗し、クールビズは成功したのか?
それは、
顧客へのアプローチの一貫性があるかないかということ。
- ターゲットの明確化
- 目的の設定
- コミュニケーションの設定
- チャネルの選択
- 予算設定
- コミュニケーションミックスの決定
クールビズというネーミングはターゲットであるビジネスパーソンに
- かっこいい
- 涼しい
- 温暖化防止
のイメージで受け入れられたのに対して、
省エネルックはターゲットであるビジネスパーソンに、
『スーツで半袖ってダサい・・・。』
と思われてしまったということです。
10.新商品は必ず売れない?
新しい商品が発売されたときの顧客のタイプは4つにわけられます。
- イノベーター:新商品をスグに買う人
- アーリーアダプター:価値があると判断すれば買う人
- アーリーマジョリティ:周りの人の行動を見た判断する人
- レイトマジョリティ:懐疑心で見続けて困ったら買う人
- ラガード:周りが買っても絶対に買わない人
商品の普及状況で顧客の行動が違うので、
マーケティング戦略も普及段階に合わせて切り替えが必要。
状況によって、売るターゲットと売る為の行動を変える必要があるということです。
まとめ
主人公がマーケティングに関して少しずつ学びながら成長していく
ストーリ形式なのでとても読みやすいかと思います。
ちなみに活字よりも漫画版がオススメです。
マーケティングに関しての基礎を学ぶにはとても良い本です。
▼kindle版は¥600